考えつくままの

美しい嘘をつき続けたい

春は来ぬ

今日はとてつもなく風が強くてすごい寒かったですね。数日前の「もう春だなあ」なんて宣っていた自分をぶん殴りにいきたいです。なぜ自分を殴らねばならぬのか。暖冬だのなんだの油断させておいてアホみてえに寒い冬自体を殴った方が良いのではないか。それは置いといて。

 

今日は寒かったので友達のM氏と身を寄せ合いながら帰りました。M氏は寒さに耐えているのか厳しい面持ちで「最近N(私とM氏の共通の友)に春が来たらしい」と話し始めました。聞けばマッチングアプリで出会った男とドライブデート云々。私は愕然としました。あのNが!マッチングアプリ!あの恐ろしく人見知りで、初対面の人間に「人間嫌いなんです」と言い放っていたNが!

冷たい北風は腕を組んで歩く私たちに容赦無く吹きつけてきます。陽の当たるところに出ても、太陽光線が微弱すぎて温もりなど感じません。

「寒すぎんだろ」

もはや口癖になった言葉をうめくように呟くと、ただ眩しいだけの太陽に目を細めたM氏が一言。

「春が来ないよ。二重の意味で」

風がいっそう強く吹いたように感じました。そして二人はさらに小さく縮こまって、身を寄せ合いながらどこまでもどこまでも、歩いてゆくのでした。

 

何なんだこれ。終わり。