フィルムカメラは嫌いだよ。あれはほとんど博打だもの。ちゃんと写っているのか写ってないのか現像するまで確認できないのが本当に怖い。暗さとか遠さとかを手動で調節しなければならないので全然うまく撮れない。そのくせフィルムは高い。三本で三千円くらいする。初心者学生には全然優しくない趣味である。
初めてフィルムを現像に出して「未露光で現像できませんでした」と言われた高三のあの時のことをいつまでも引きずって生きている。あの空っぽになったフィルムにどんなに大事な反射光が詰まっていたか。なんなんだ未露光って。この出来事がショックすぎてフィルムカメラを辞めたので結局何だったのかよくわかっていない。思い出は目に見える形で残しておかないといずれ忘れる。忘れたくないものも忘れる。ファインダー越しに見えたダサいピースをしているあいつの姿をずっと大事に抱えている。大事に抱えてきたつもりだったけど、一年経つともうダメだ。畜生、思い出を返せ。
大事そうなものはスマホかデジカメで撮りましょう。
